豊かさの本質
生活の豊かさについて考えるとき、美味しいものを食べることやファッショナブルな生活を送ること、それらをSNSにアップすることは一部の要素かもしれませんが、本当の豊かさはより深いところに存在します。
建築の観点から考えると、快適性は豊かさと結び付けられるかもしれません。しかし、快適性とは断熱性や耐震性、維持管理性、デザイン性などの仕様だけではありません。これらの要素は重要ですが、自分自身を豊かにするためには、客観的な要素だけでなく主観的な要素も考慮する必要があります。
現代社会では、多くのメディアが人々がキラキラした生活を送っているように見えるイメージを作り出しています。しかし、現実の生活は常にそうした輝かしい場面ばかりではありません。外側のイメージと内面のギャップによってストレスを感じることが、現代の生活の基盤となってしまっていないでしょうか。
実際の生活を見てみれば、共働きで毎日の洗濯物をリビングに干したり、キッチンが食料でいっぱいになったり、玄関が靴や小物で溢れたりといった場面があります。また、ゴミの処理にも悩まされることもあるでしょうし、子供が物を散らかして追い回される日々もあるでしょう。これらの一面も、現実の生活の一部です。
生活の豊かさを実現するためには、これらの現実の一面を受け入れつつ、自分自身も受け入れる必要があります。自分自身を許容し、少し気を抜いてもだらしなく見えないような生活ができることが理想の住まい空間ではないでしょうか。現代社会というプレッシャーやストレスが多い環境で、そんな時間を過ごせる場所こそが本当の豊かさを提供する空間と言えると考えます。
つまり、メディアには現れない日常生活の品や質こそが、生活の豊かさの基盤となるのだと思います。
建築の評価
人の評価はその人の長所によります。例え短所が多くともその人の長所を評価するのが多様性を許容する社会です。しかし建築は違うと考えています。デザインが優れていても維持管理性・断熱性に劣る、断熱性・耐震性に優れていても使いにくい間取り等、長所と短所が両方あるのが当たり前と考えがちです。しかし建物の長所は長い時間経過の中で日常にうもれ当たり前となり忘れられていきますが、暑い寒いや使いにくいから来るストレスはコツコツを積み上がっていきいつか長所を飲み込んでいきます。よって建築はその短所をもって評価されるべきであるというのが私の設計思想です。このような空間こそが生きるというストレスやプレッシャーを低減させ、家が本当にリラックスできる場所になり得るのだと考えます。別の言い方をすれば、気を抜いても大丈夫な本当の自分自身を許容できる空間づくりが、結局は自らに余裕をもたせることに繋がり、そういった余裕こそが生活の豊かさと言えるのではないかと思うのです。
自分自身を許容できる空間とはどのようなデザインでどのような間取りでどのようなスペックなのか。何にストレスに感じ、何に喜びをそして幸せを感じるのか。まずは改めて自分自身を知る必要があります。
話は変わりますが、ハーバード大学の長期間に渡る「幸福な人生の条件とは何か」という研究での結論はこうです。
「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ。」※興味のある人はネット等で検索してみてください。
また社会学や心理学では「幸せとは、価値観を同じくする小規模なコミュニティの中で頼り頼られ生きること。」が一般的に議論されているようです。
逆の言い方で「人の悩みの90%(80%という見解もある)は人間関係である。」とも言われているのはご存知かと思います。残りの10%(20%)の悩みはお金のことである。というのが私の考えです。
家とはこの全ての悩みを内包する場所です。家族という人間関係を幸せのベースとするために家の短所がストレスの原因となっては本末転倒です。またそこに注視するあまりお金の問題が浮上してもこれもまた本末転倒です。
これら全てに配慮した建築行為こそが、一生に一度と思われる家造りにおいて、豊かさの本質の追求に繋がっていくと考えています。
幸福な人生の条件
幸福な人生の条件
自分自身を許容できる空間とはどのようなデザインでどのような間取りでどのようなスペックなのか。何にストレスに感じ、何に喜びをそして幸せを感じるのか。まずは改めて自分自身を知る必要があります。
話は変わりますが、ハーバード大学の長期間に渡る「幸福な人生の条件とは何か」という研究での結論はこうです。
「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ。」※興味のある人はネット等で検索してみてください。
また社会学や心理学では「幸せとは、価値観を同じくする小規模なコミュニティの中で頼り頼られ生きること。」が一般的に議論されているようです。
逆の言い方で「人の悩みの90%(80%という見解もある)は人間関係である。」とも言われているのはご存知かと思います。残りの10%(20%)の悩みはお金のことである。というのが私の考えです。
家とはこの全ての悩みを内包する場所です。家族という人間関係を幸せのベースとするために家の短所がストレスの原因となっては本末転倒です。またそこに注視するあまりお金の問題が浮上してもこれもまた本末転倒です。
これら全てに配慮して行う建築行為(基本設計から監理そして施工まで)こそが、豊かさの本質に繋がっていくと考えています。